Web記事が読めないかもしれませんので、コピペしておきます。
「世にも珍しい「開発しないリゾート」を旗印に掲げたプロジェクトが、新千歳空港に近い北海道苫小牧(とまこまい)市で進められている。一番の目的は森林の保全で、そのためにはあまり多くの人が来てもらっては困るのだという。開発ばかりか集客もしないリゾートの驚くべき概要とは-。(札幌支局 藤井克郎)まさにこれまでの常識を超えたリゾート構想だが、まずは平成26年夏をめどにビジターセンターを開設。さらに翌27年春にはGHMのホテルをオープンさせたいとしている。
森林の所有者で、石川さんとともに事業に参画する丹治林業の丹治敏男社長(65)は「見せる森林にして継続できれば、林業で働く人もいるから森が守られることになる。森林がいかに大事かを子供に伝える教育の場にもなると思います」と、開発しないリゾート構想に期待を寄せる。
この不景気の時代、資金を心配する声もあるというが、「それは海に魚がいないと言うのと同じ。海に魚がいるように、世の中にはお金があるんだから」と石川さんは意に介さない。
「ホテルはもうけ話でやるものじゃありません。人間は決して自然をコントロールできないし、自然のそのままが価値があるという時代が必ず来ると思う。森には命をかけてもいい。死にがいのある仕事だと思っています」
新千歳空港から車でおよそ15分。ゴルフ場をすり抜けた奥にある1057ヘクタールの広大な民有林が、開発しないリゾート「バルト・マイスター・トマコマイ」の計画地だ。10月9日には関係者ら約70人が集まってキックオフイベントが開かれ、本格的に始動したが、事業主体である「のるでんばると」の石川裕一社長(57)は「構想は10年くらい前からずっと温めていた」と打ち明ける。
「森林の回復は国益上不可欠なものと考えている。森を守ることで川がよくなり、土壌をよくすることもできる。その循環ができなくなっているので、雨が降ると濁流が押し寄せるんです。では森の保全には何をすべきか。そこで観光と結びついたんです」と石川さん。ちなみに社名の「のるでんばると」はドイツ語で「北の森」、事業名「バルト・マイスター」は「森の番人」を意味する。
一見、森林の保全と観光とは相いれないように思えるが、笛や太鼓で宣伝して集客するコマーシャリズムの観光は想定していない。石川さんは、四書五経の易経にある観光の語源「光を観(み)る」の「光」についてこんな風に語る。
「観光とはもともと王様が地域の光を求めて歩く行為だった。その光とは名所旧跡ではなく、人材を求めたんじゃないかと思っている。余暇を楽しむのではなく、人と出会ったり人と語ったりするのが観光だと。でも森は人間圏ではなくて動物圏だから、出会うのはやっぱり動物じゃないか。木や草も、昆虫も入るでしょう。動物との共生、自然との共生を考えるべきだと思ったんです。
1057ヘクタールの土地のうち手をつける部分はわずか4%で、残りは自然のままにしておく。といっても荒れ放題では森は守れない。間伐など林業の営みを続けることで木が育ち、防災にも役立つ。そのための費用を4%の観光でまかなおうというわけだ。
具体的には、宿泊施設としてホテル3棟とコテージを建設。森の入り口にはビジターセンターを設け、森林ガイドや山岳ガイドが生態系を崩さぬよう森を案内する。すでに3棟のうちの最上級のホテルとコテージは、シンガポールを拠点とするGHMホテルが、世界的な建築家の安藤忠雄さんの設計で建設することが決まっている。世界各地で展開する同グループのホテルは1泊10万円以上する超高級が売りだが、同じレベルのものになるという。そんな超富裕層が長期滞在して自然のままの森を思い切り満喫する。石川さんいわく「来たい人だけが来る」集客しないリゾートなのだ。
石川さんに敷地内を案内してもらった。取材に訪れた日は絶好の紅葉シーズンで、見事に色づいた手つかずの雑木林の中を、舗装のされていない細い1本道が通っている。森を分け入って高台に出ると、紅葉のグラデーションの向こうに樽前山(たるまえさん)と風不死岳(ふっぷしだけ)の雄大な姿が広がる。ここはコテージの建設予定地で、この先にはどんな建物も建てるつもりはないという。さらに奥に進むと、頭上に黄や茶色の葉っぱが覆いかぶさる森のトンネルも出現した。割と近くでエゾシカの鳴き声も聞こえる。
「昨日はヘラジカかと思うほど大きいエゾシカとも遭遇したんですよ」とうれしそうに話す石川さんによると、敷地内では282種の植物、148種の鳥類、2906種もの昆虫が確認されているそうで、哺乳類もタヌキやキツネ、シカにユキウサギ、さらにはヒグマにも出くわすことがあるかもしれないという。
「若いころ、アラスカのデナリ国立公園に遊びにいって、いっぺんにはまってしまった。四国と同じくらいの広さで、1週間はいないと雰囲気がわからない。大きな双眼鏡をどーんと置いて、クマとクマのけんかを楽しんでいる欧米人の金持ちもいる。ついこの間もモンゴルの田舎の方に行ったらヨーロッパの金持ちがいて、何もないところを歩くのが最大の楽しみだと言うんですね。日本にも世界中の人が1週間、自然とふれあって楽しむところがあっていい。そういう発想で始めるんだから、余計な装置はつくりません。バスでどっと来て、写真を撮りまくるだけで帰る人はいらないんです」
まさにこれまでの常識を超えたリゾート構想だが、まずは平成26年夏をめどにビジターセンターを開設。さらに翌27年春にはGHMのホテルをオープンさせたいとしている。
森林の所有者で、石川さんとともに事業に参画する丹治林業の丹治敏男社長(65)は「見せる森林にして継続できれば、林業で働く人もいるから森が守られることになる。森林がいかに大事かを子供に伝える教育の場にもなると思います」と、開発しないリゾート構想に期待を寄せる。
この不景気の時代、資金を心配する声もあるというが、「それは海に魚がいないと言うのと同じ。海に魚がいるように、世の中にはお金があるんだから」と石川さんは意に介さない。
「ホテルはもうけ話でやるものじゃありません。人間は決して自然をコントロールできないし、自然のそのままが価値があるという時代が必ず来ると思う。森には命をかけてもいい。死にがいのある仕事だと思っています」
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なにもなくても出来るんだということをやってみたいですね。
やるどー